Column
ゲーテ「野ばら」について
毎週日曜日の朝11時からラジオ関西558Khz「まっこと!ラジオ」で
「天宮遥のピアノ演奏」を行っています。
今週は、♪ わらべは見ぃたり野なかのばら↺
みなさんよくご存じの歌曲「野ばら」を演奏しました。
野ばらはゲーテ(1749-1832)が1771年につくった詩に、多数の作曲家が
メロディーをのせていることで有名です。
シューベルト(1797-1828)やヴェルナー(1800-1833)が最も
知られていますが、他にもシューマンやブラームスが「野ばら」を作曲。
ベートーヴェンにおいては3回も作曲に取り掛かりますが未完に終わっています。
残されたメモを演奏した音源を聴いたことがありますが、
それはそれは深刻な曲でした。
しかし、どうやらそれだけではなさそうです。
横山淳子著「ドイツ歌曲の発展におけるゲーテの役割」によりますと、
ドイツを中心にヨーロッパ全土で154曲もの曲がつけられていたそうで、
1番最初に作られたといわれる1790年に作られたヴァイセの作品が
オランダ王立図書館にあるそうです。どんなメロディーなのか気になりますね、
でもなぜそのようなことがおこったのでしょうか、
フランス革命の影響ですっかり「学ぶこと」「考えること」「行動すること!」に
目覚めた市民がつどって意見交換したり、歌をうたったりするようになる中、
積極的にあつまりに参加していたゲーテさんの詩をつかって
「みんなで歌おうじゃないか!」となったわけです。
しかし、今のように簡単に音声や楽譜をlineで送りあったりするわけでないわけで
各所各所でオリジナルメロディーが出来ていった。というわけなのです。
しかし、それにしても154曲って。
ゲーテさんもどこまで把握していたのでしょうか。
ちなみにゲーテさんは、シューベルトの清く正しい旋律の作品は
あんまり好きではなかったそうです。
だって「野ばら」は昔彼女をふったときの自責の詩なのですから。
「そんなにはつらつと歌われてもなぁ。」と思ったとか思わなかったとか。